断崖のアイ
 戦術については引き続きブルーが教育する事となり、完璧な殺人兵器に育て上げるためあらゆる教育が施される事となった。

 まだ5歳というベリルの知識は、関係者たちに感嘆の声と不適な笑みを浮かばせる。

 歳を取るごとに専門家は増えていく……ベリルはそれに充分ついていく事ができ、なおかつ時折、専門家を負かす事さえあった。

 しかし、上の人間が真に期待しているのは戦闘の技だ。

 己が何を求められているかを知っているベリルは、それに相応しくあるように振る舞った。

 ただ無表情に、ただ淡々と……ブルーはベリルの戦術における才能を素早く見抜き、己の全てを吸収させようとした。

 以前の施設にいた時と同様に、ベリルに接する人々は彼に言いしれぬ恐怖を覚える。

 元々、整っていたベリルの容姿は歳を追うにつれ魅力を際だたせ、中性的な面持ちと上品な物腰は15歳になった現在、誰をも魅了するまでになる。

 この頃になると、ベリルに好意を抱く女性科学者や専門家も現れ誕生日やクリスマスには小さなプレゼントが手渡されていた。

 チョーカーだったりブレスレットだったりと、女性たちは彼の容姿をより美しく魅せようとしているようにブルーには思えた。

 あらゆる検査結果が、ベリルを生物兵器として確たるものにしていく──全ての結果が常人とは逸脱した数値をたたき出し、クローンを試みたが取り出した細胞核は一切、分裂を起こさず落胆と同時にその驚異に沸いた。
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