断崖のアイ
「! 成長が遅い?」

 ブルーは、上司であるスーツの男から呼び出され受けた報告に怪訝な表情を浮かべた。

「身体検査を続けている者から報告があってね。身長の伸びが悪いそうだ」

 このままでは180㎝にはならないし超える事もないだろう、遺伝的なものなのか精神的なものなのかまでは判断出来かねるとの事だった。

 確かに、15歳にしてはベリルは小さい方だ。小柄な分だけ小回りが利くと言えば聞こえはいいが、アジア人並の平均身長にしかならない事は予想外だったのだろう。

「身長だけなら問題無いのでは? むしろ低めの方が侵入時には利点が多い」

 ブルーは監視カメラからの画面を見つめたあと、自分の個人的な意見を述べた。

「ふむ……」

 男はしばらく探るようにブルーと視線を合わせ、納得したのか息を吸い込んでスライドドアに向かった。

「それもそうだな、また何かあったら報告しよう」

「頼む」

 男の背中に発し、険しい表情を浮かべた。
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