断崖のアイ
その中でもロッド──棍(こん)──を使わせれば右に出る者はいない。
両親の影響で彼が聖職者を目指したのは当然の流れでもあった訳だが、噂として聞き及んでいた組織に入る事になるとは考えもしていなかっただろう。
ましてや、実在する組織などとは……その信仰心と強さから、組織は彼を引き抜いた形だ。
青年の直属の上司となったアイアス司祭は、それでも彼にベリル捕縛の任を命じる事には躊躇した。
4名の全てが行方しれずとなった事実は、少なくとも彼の胸に大きな不安を抱かせる。彼らも強い信仰心で動いていたのだ。
消えた原因が知りたい……司祭は眉をひそめた。
ベリルについては調べられる部分は全て調べたつもりだ、それでもまだ何か足りないというのか。