断崖のアイ
「?」

 施設内では、ベリルが部屋の中で鳴り響く警報を耳に探るように辺りを見回していた。

「ベリル」

 呼ばれて振り返ると、ブルーが武装してこちらに歩み寄ってくる。

「ブルー……これは?」

 問いかけるベリルにハンドガンとナイフを差し出した。怪訝な表情を浮かべる青年に険しい瞳を向け、すいとその背後を指差す。

「お前なら出口は解るな」

「ブルー?」

「潮時だ」

 発して浮かべた笑みに、ベリルは彼の終わりを見た。何故だかは解らないが、彼は死ぬ気でいる。

「何故です」

「お前の自由が見たくなった」

 ここにある全ては俺が連れて行く──つぶやいたブルーの青い瞳には、何が映し出されているのかベリルにも窺い知れなかった。
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