断崖のアイ
「なんだこのガキ」

 ロイは武器を構えた自分たちに怖がる事もなく、無表情でこちらを見つめる青年にいぶかしげな視線を送った。

「あんた、名前は」

「ベリル」

「生物兵器のこと、知らないかい」

「リエンナ! ここはもうだめだ!」

 口を開きかけたとき、駆け寄ってきた男が割って入る。男の言葉は、激しくなる爆音で正しい事を証明していた。

「仕方ないね。撤退だ」

 軽く舌打ちをして、装着しているヘッドセットに放つ。それを聞いた周りの仲間たちは一斉に施設の外に向かった。
< 130 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop