断崖のアイ

 次の朝──アイアス司祭に呼ばれて礼拝堂に向かう。

 地下は常に一定の気温と湿気で肌寒いほどだ。響く足音が反響しているのか、静まりかえる事はなく続く。

 重々しい扉を前に立ち止まり、ゆっくり力を込める。見た目よりも軽く動き広い空間が視界に入った。薄暗い通路とは異なり、多くのロウソクが堂内を明るく照らしていた。

 大理石の祭壇には品の良いレースで編まれたクロスがかけられ、金と銀の燭台は荘厳な室内に相応しく見事な造りだ。

「!」

 立っている人物に目を向けるとアイアス司祭だった。小さく会釈して近づく。

「ベリルの居場所が判明した」

「! では出発の準備をします」

「頼んだぞ」

 再び会釈して礼拝堂をあとにした。
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