断崖のアイ
「うまく避けるわね」

 女は苛つき気味にその様子を見やり、ヒップバッグから手のひらサイズの物体を取り出した。

「!? ベリル!」

 咄嗟に叫んだユーリだが、それは彼の足下に投げ込まれる──ベリルが手榴弾だと気付いた時には、爆音が響き渡っていた。

 腕をクロスさせて身を守ったが、その衝撃に倒れ込む。

「ベリル!」

 動かない? どうして……ユーリはハッとした。

 そうだ、彼は不死だというだけでそれ以外はわたしと同じ人間じゃないか! どうしてそのことを今まで忘れていたんだ。
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