断崖のアイ
「今までの過ちを無かったことにも出来ない」

 この組織の全てに納得してるワケじゃあない。だが、ベリルを護るたには──

「奴を哀しませる行為だとしても、留まる他は無いのさ」

 その瞳に、憂いと誇りが混ざり合う。ユーリはそれに眉を寄せ、遠くの泉に視線を移した。

「同じ信仰だというのに、どうしてこうも違うのでしょう」

「仕方がないさ、信仰の仕方が違うんだ」

「信仰の、仕方」

「それが奴の立ち位置を変えているのさ。イズミとオレとでさえ、根底は違ってる」

 もっとも、あいつはベリルにご執心だがね。と呆れたように肩をすくめる。

「彼はもしかして……」

「気にすんな、あいつはオレたちとは思考が違うんだ。そろそろ離陸だな、行こう」

 ニコリと笑んでユーリの背中を叩いた。

「あなたも?」

「オレは後方支援」

 小型ジェットに乗り込み、カーティスは泉に声をかける。

「目的地は?」

「ジンバブエだ」
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