断崖のアイ
「!? 下がれ!」

 周囲が動揺している間に、4人は入り口に素早く駆けた。激しい音と光が辺りを数秒満たし、その間にドアを蹴破る。

「……っ」

 女はベリルを一瞥し、仲間が蹴り開けたドアから部屋をあとにした。

「逃がすな!」

 追いかける男たちの背中を見やり、男は鉄格子に歩み寄った。

「……何故、止めようとなさった」

 すっかり目が覚めたベリルを見下ろす。

「彼らはあなたを捕らえた者たちだ。あなたに逃がす道理は無いはずでしょう」

 ベリルは男を見上げ、片膝を立てて視線を外した。
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