断崖のアイ
「そうさせたのはお前だろう」

「彼らはハンターだ。金のために赤子でも殺す」

 無表情なままのベリルに目を細め、ゆっくりと口を開く。

「申し遅れた。あたしはナフタリと申します」

 丁寧に腰を折り自己紹介した。

 ベリルはその名に若干の反応を示したが、視線を合わせず不機嫌な表情を浮かべる。

「手荒なまねをして申し訳ございません。しかし、こうでもしなければあなたは招待に応じてくださらないでしょう?」

「お前たちに招待されるいわれはない」

「何をおっしゃる。あなたは我々には不可欠な存在なのですよ」

 ──我らが主(あるじ)の『恋人』としてね。

 つぶやいた言葉に、険しい視線を送った。
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