断崖のアイ
「向こうに着いても何もするなよ」

「何故です」

「オレたちはベリルを連れ去った連中を殲滅する」

「!? それはいけません」

「それを止めればあんたも死ぬ」

 冷たい声に体を強ばらせた。

「躊躇いは無い。相手はサタニストだからね」

「悪魔崇拝者!?」

 彼らは『左の道』とも呼ばれ、魔の力を常に求めている──

「神のための存在ならば、悪魔にも相応しいという考えさ」

 肩をすくめる。

「俺たちは力を付けた」

「!」

「そうでなければ、いくらベリルが許したとしても、あんたを放置はしない」

 鋭い視線がユーリに向けられた。

 裏ヴァチカンに対抗しうるだけの力を我々は持った、組織が発覚したとしても問題はない──暗に示された言葉に、ユーリは眉を寄せる。
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