断崖のアイ
「！」

　太陽の光に照らされた建物に眩しさを感じて目を細めた。

　そこはヴァチカンの中ではなく、周囲にある建物の一角だ。外に出るとキャソックを来た神父が立っていた。

　薄めのブラウンの髪に黄緑の瞳と、老齢な男の人生を物語るように顔には深いしわが刻まれている。

「ユーリ・ヘフナーだな」

「はい」

　手渡されたものを受け取る。すっきりしたデザインの腕時計は、ローマ数字の文字盤に多機能さが窺える。

　時計の裏には見慣れた紋章……剣の周りに円を描くように6枚の翼が配置されている、ＵｎＧの象徴だ。

「父なる神のもとに祝福が訪れんことを」

「ありがとうございます」

　待っている車に乗り込み、空港へ向かう。

　とにかく、対峙してみないと何も解らないし得られない。久しぶりに見た風景に懐かしさを感じながら、これから訪れるであろう闘いの時に深く息を吸い込んだ。
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