断崖のアイ
 苦い表情を浮かべているユーリに、カーティスがぼそりと発する──

「ベリルはルシファーのものなんだよ」

「!」

 顔を上げたユーリに視線を合わせ、淡々と続けた。

「エメラルドは誰の冠にあった」

 墜ちたものなら持ち主に戻すべきだ。

「そんな馬鹿な!」

「奴らの理屈だからね」

 でも……とカーティスは付け加え、

「それはあんたらも同じだろ」

「!?」

「俺たちもだけどな」

 含み笑いを持って離れていくカーティスに険しい視線を送り、奥歯を噛みしめた。
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