断崖のアイ
*消えゆく蜃気楼
「何?」
到着した泉たちは、仲間からの報告に眉を寄せた。
「まさか彼が?」
「それもあり得る。割とジッとしてないタイプだからね」
オレたちより先にそこから抜け出したとしても同じなのに……カーティスが薄笑いと共に応えた。
それに、ユーリは苦い表情を浮かべる。
泉の仲間がすでに現地に飛んで監視しているのだが、あの場所にいる人間を1人残らず逃さないためだ──あとはベリルを奪還すればそれで完了となる。
その繰り返しが続いていたとしても、彼の心は少しも変わらないのだろう。
わたしは、変わらずにいられるだろうか。そんな心の強さを持ち続けていられるだろうか……大型ジープに乗り込む泉たちのあとに、ユーリも滑り込んだ。