断崖のアイ
◆第8章~君へ

*解ける糸

「今のは?」

 意識の無くなったベリルを片膝と両腕で支え、泉たちを見やる。

「ベリルは甘いって言ったろ」

 いつもの薄笑いでカーティスが応える。

「! 殺していないのですか」

「殺したのはそいつだけ」

 転がっている男を指差す。

「同士を増やせる」

 視線を合わせずつぶやいた泉を見上げた。

「ベリルを見た何人かはこっち側に来ることがあるのさ」

 とにかく、ベリルをよろしくね……カーティスの笑みが、ユーリの脳裏に妙に張り付いた。

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