断崖のアイ

 そうしてベリルはジンバブエからカナダに飛んだ──北アメリカ大陸の北部に位置する連邦立憲君主制国家である。

 世界で2番目に大きい面積の国土を持ち、ほぼ全域が亜寒帯、寒帯に属し非常に寒冷な気候だ。

 2人は、オンタリオ州にある最大の都市トロントに足を踏み入れる。

 ユーリにはやや肌寒い気温だが、そのせいか空は清々しく感じられる。

 青年はベリルの行動に若干の疑問を持った。

 まるで、何かを確認して回っているようにも感じられる。それは不確かな感覚でしかないが、人々を観察しているようにも思えた。

 己が人間だという再確認のためなのか、人間というものを神に報告するためなのか──そんな思考がユーリの脳裏に過ぎる。

 街中を歩いたあと、ベリルは必ず自然公園を回る。
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