断崖のアイ
*崩された日
何をするでもなく、ベリルたちはカナダに一週間ほど滞在した。
ホテルに泊まる際には何かを確認してチェックインしていたが、ユーリはそれが泉たちの所属している『The glory』のシンボルなのだとようやく知る。
目立たない位置に示されたその文様──ツタに絡まれた翼──を確認し、3日置きほどで移動を繰り返す。
望んでもいない信仰の対象にされた彼に課せられた事務的な作業のようにも感じられ、ユーリは眉を寄せた。
こんなゆっくりした時間を過ごせた事に、ユーリは驚きつつもホッとしている。
いつも何かに追われているイメージがあったからだ。