断崖のアイ
全てを赦す存在が本当にいるのだとすれば、それは──
「!」
風がざわりと何かの訪れを告げ、ユーリは即座に意識を周囲に配った。視界に入っているベリルも同様に警戒している。
人々の笑い声はおろか気配すらも消え、代わりに得体の知れない気配が膨らんでゆく。徐々に聞こえてくるのは、獣のような唸り声と複数の足音。
現れた影にユーリは目を見開いた──
「アイアス司祭!?」
険しくこちらを見つめる男の傍らに、背を曲げた黒い物体が唸り声をあげていた。
ブラウンの毛に覆われた体と長い鼻、ぎらついた黄金色の瞳には人としての感情を垣間見る事が出来ない。
「!」
風がざわりと何かの訪れを告げ、ユーリは即座に意識を周囲に配った。視界に入っているベリルも同様に警戒している。
人々の笑い声はおろか気配すらも消え、代わりに得体の知れない気配が膨らんでゆく。徐々に聞こえてくるのは、獣のような唸り声と複数の足音。
現れた影にユーリは目を見開いた──
「アイアス司祭!?」
険しくこちらを見つめる男の傍らに、背を曲げた黒い物体が唸り声をあげていた。
ブラウンの毛に覆われた体と長い鼻、ぎらついた黄金色の瞳には人としての感情を垣間見る事が出来ない。