断崖のアイ
「あなたを捕らえます」

 向けてくる視線にゾクリとする冷たさを感じ、青年は負けじと睨み返す。

「! 理由は」

 その言葉に動じず聞き返した。

「この世にあってはならない存在。故に封印します」

「UnGか……」

 確認した彼の表情が一瞬、笑ったようにも見えたが今はそんな事を考えている場合じゃない。とにかく闘える体勢に入らなければとロッドを手にした。

「珍しいな」

 無表情に目を細める。彼の怪訝な声はもっともだろう、戦闘時には必ずキャソックであったのに今回は一般的な服装で現れたのだから。

「!」

 不意打ちで捕らえようとした事に目を泳がせる。それを察したのか、彼は喉の奥から笑みをこぼした。

「お前の行動は正しい」

 結局は失敗した計画を評価されても嬉しくもなんともない。馬鹿にされたような感覚に眉をひそめた。

 それと同時に、まるで警戒心の無い態度にいぶかしさを覚える。そうだ、彼は外見では25歳ほどだが実際は80歳なのだ……思い起こし、ロッドを伸ばした。

「! 面白いものを持っている」

 ささやくように発すると、ようやく少し構えた。
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