断崖のアイ
 今までの同志たちが消えていった事に、なんとなくだが解ったような気がした……決して敵わない壁のようなものが漂わせる雰囲気から感じ取れる。

 そこでふと『生物兵器』という言葉を思い出す。拉致した彼を、アメリカは生物兵器として教育した。

 しかし、彼はその目的で造られた訳ではないだろう。アメリカが誤った情報を元に彼を拉致し、生物兵器として育てたと推測する。

 潜在的に持ち合わせていた戦闘に関する才能が、それによって開花したのだろうか……? そんな推測や憶測を立てたとしても、「勝てない」という意識が消える訳でもない。

 ただ闇雲に何かを考えて逃げているだけだ。青年は頭を振って意識を切り替えた。

「何か策はあるはずだ」

 真に無敵の存在など父なる神以外にいる訳がない。
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