断崖のアイ
　次の朝──

「！　港？」

＜ええ、そこにいるらしいです＞

　ヘインズからの電話に苦い表情を浮かべる。

「解りました」

　青年はキャソックに着替え、コートを羽織り階下に降りていく。

　彼ら神の兵士は闘いのときキャソックを見に纏う。

「私は神の代弁者であり、神の名のもとに必ずこの使命を果たす」という決意によって為されるものだからだ。

　階段を降りると礼拝堂の裏に出る。

「！」

　そこにはモリス神父が立っていた。見つめるモリスを一瞥し、無言で横を通り過ぎる。

「ユーリ」

　おもむろに呼び止められ、立ち止まる。

「私と君の考えが異なるように、君が捕らえようとする者の考えも異なるのだということを忘れないでいてほしい」

「……おっしゃっている意味が解りません」

　言い放ち裏口に向かった。外に出ると丁度、ヘインズの車が到着した処でそれに無言で乗り込む。
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