断崖のアイ
「あなたは……っなんのために造られたのですかっ?」
悔し紛れに問いかけた。
すると彼はまた驚いた表情を浮かべて小さく笑う。
「そんな事を訊いたのはお前が初めてだ」
思わぬ彼の表情に、青年は少し戸惑った。そんな青年に再び笑みを返し構えを解く。
「私が造られた理由と不死となった経緯は全てあの男の計画からなるものだがね」
「!? それはどういう意味ですか? あの男とは?」
「封印する相手の事など知ってどうする」
「……っ」
言葉を詰まらせた。心を示さない瞳に見つめられ、先の言葉が吐き出せない。
「お前に話す事など無いよ」
柔らかな物言いだが壁を作られた感覚に心臓が大きく鳴った。
「今はね」
ぼそりと発し、動けなくなった青年を一瞥して遠ざかる。
「ベリルっ!」
ようやく口に出来たのは彼の名前──初めて呼んだような気がした。小さくなる背中に伸ばした手は虚しく宙を掴んだ。
悔し紛れに問いかけた。
すると彼はまた驚いた表情を浮かべて小さく笑う。
「そんな事を訊いたのはお前が初めてだ」
思わぬ彼の表情に、青年は少し戸惑った。そんな青年に再び笑みを返し構えを解く。
「私が造られた理由と不死となった経緯は全てあの男の計画からなるものだがね」
「!? それはどういう意味ですか? あの男とは?」
「封印する相手の事など知ってどうする」
「……っ」
言葉を詰まらせた。心を示さない瞳に見つめられ、先の言葉が吐き出せない。
「お前に話す事など無いよ」
柔らかな物言いだが壁を作られた感覚に心臓が大きく鳴った。
「今はね」
ぼそりと発し、動けなくなった青年を一瞥して遠ざかる。
「ベリルっ!」
ようやく口に出来たのは彼の名前──初めて呼んだような気がした。小さくなる背中に伸ばした手は虚しく宙を掴んだ。