断崖のアイ
◆第2章~黄昏の戦士

*奇蹟の輝き

「!」

 無言のまま礼拝堂にいる青年にモリス神父は怪訝な表情を浮かべた。近づいてみると疲れたような顔でこちらを向くが、やはり無言だ。

 オリーブ色の瞳に覇気がない。

「モリス神父」

「なんだね?」

「あなたは何故あんなにもわたしに……?」

 青年の問いかけに分厚いまぶたを一度閉じて、祭壇の背後にあるキリスト像を見上げた。

「昔、私の友人もそこにいたよ」

「!」

「あのときは私も彼を羨ましく思っていた」

 過去を懐かしむ声はすぐに強ばる。

「指令を受けて闘い、神のもとに召された」

「!? だったら……」

「だからこそだ!」

 青年の言葉を遮った。
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