断崖のアイ
2日後──街から離れた西にある自然公園は真上の太陽をちらつかせる。木漏れ日の中、しなやかに動く影は近づく人物に怪訝な表情を浮かべた。
「わたしは知りたいのです」
「お前に善きものをもたらすものではないよ」
いなすように応えられ、青年は鋭い視線を向けるとロッドを伸ばした。それを見やり、肩をすくめる。
多少、足下のおぼつかない場所だが構わず駆け寄る。彼は振りかざす棍を紙一重で避けてその力の差を見せつけた。
広い間隔で立ち並ぶ木々は2人の闘いを見守るようにざわめきを響かせる。
「っ!?」
地の根に足を取られてよろける。すぐに体勢を立て直そうと踏ん張る青年の耳に鈍い破裂音が届いた。
何事かと思った刹那──影がすぐ近くにある事を感じて顔をあげる。
「!」
まるで、護るように広げられた左腕の主は何かを見据えて動かない。その視線の先にいたものは……
「せっかく助けてあげようと思ったのに」
栗色の髪を束ねている女性がハンドガンをこちらに向けて不適に笑っていた。
「わたしは知りたいのです」
「お前に善きものをもたらすものではないよ」
いなすように応えられ、青年は鋭い視線を向けるとロッドを伸ばした。それを見やり、肩をすくめる。
多少、足下のおぼつかない場所だが構わず駆け寄る。彼は振りかざす棍を紙一重で避けてその力の差を見せつけた。
広い間隔で立ち並ぶ木々は2人の闘いを見守るようにざわめきを響かせる。
「っ!?」
地の根に足を取られてよろける。すぐに体勢を立て直そうと踏ん張る青年の耳に鈍い破裂音が届いた。
何事かと思った刹那──影がすぐ近くにある事を感じて顔をあげる。
「!」
まるで、護るように広げられた左腕の主は何かを見据えて動かない。その視線の先にいたものは……
「せっかく助けてあげようと思ったのに」
栗色の髪を束ねている女性がハンドガンをこちらに向けて不適に笑っていた。