断崖のアイ
「! それが完全なる不死の正体なんですか? 光っていましたが」

 素直に発して武器を受け取り、着ていたコートを脱いで代わりに差し出した。それに自分の姿を見回し苦笑いを浮かべてコートを受け取る。

「構築する際にエネルギーが発生するようだ」

「それであの男とは?」

 流れでうっかり教えてもらえるとでも思ったのか、眉間に深いしわを刻んでいる彼としばらく目を合わせていた。

「聞こえてるぞ」

 視線を逸らして口の中で舌打ちする青年の後頭部に目を据わらせた。そして溜息混じりに立ち上がり、見上げる青年を見下ろす。

「邪魔が入ったな」

「でも少しあなたのことが解りました」

 つぶやいて離れていく背中に発すると振り向いたので、ニコリと笑みを返した。
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