断崖のアイ
「神の所業を人が成すなど赦されぬ。資料によれば造られた６０００体以上のうちおよそ４０００体は拒絶反応、５００体は感染症、４００体は発育不全１００体はなんらかのガンで死亡。５００体は奇形、１００体は精神障害……まともに生きていられたのは彼を含めて数百体にしかならん。その中でもまともなのはさらに数十体だろう」

　国が破綻すると決まったとき、研究の全ては闇に葬られた。

「残っていたのは研究の成果と経緯だけだ」

　ヒトDNAが解明されてのち、人工生命体の成功はアルカヴァリュシア・ルセタだけだったが、その研究内容は全て燃やされ、拉致されたベリル以外の全ての人工生命体は殺された。

「!?　殺された？」

「世界から非難されることを恐れたのだろう」

　少し苦い顔をして立ち止まった。

「経済破綻とは言うが、実の処……仕掛けたのはアメリカだろう」

「！」

「君は優秀な神の戦士だ。この使命を成し遂げてくれると信じている」

「あの……」

「なんだね」

　青年は言い出しにくそうにしていたが、ひと呼吸ついて切り出す。
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