断崖のアイ
　３日後──簡単なチェックを終えたデータがベルハースの手元に送られた。

「……」

　それを険しい表情で確認していく。

　育成と廃棄と研究対象に振り分けるのは他の科学者たちで、彼が探しているのはそんなものではない。

　データのおよそ半分を過ぎた辺りで「今回もだめなのか……」と諦めの色が表情に浮かんでくる。

　最後の１体、No.６６６６に期待せず視界に捉える。

「!?」

「！　どうしました？」

　大きな音を立てて立ち上がるベルハースに、そこにいた助手の科学者たちが怪訝な表情を浮かべた。

　ディスプレイに映し出されているチェックリストを見つめたまま動かない彼に首をかしげて数人が同じく立ち上がる。

「No．６６６６（フォーシクス）だ」

「え？」

「No．６６６６を見せてくれ」

「こちらです」

　助手の青年が手を示し通路へ促した。建物内は区分けされていて、科学者たちが勤務時間を過ごすのは現在は主に実験エリアである。
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