断崖のアイ
怪訝な表情を浮かべながら彫刻の施された木製のドアをノックする。
「どうぞ」
ドアの向こうから聞こえた声は、どこかで耳にしたような感覚を覚えゆっくりとノブに手をかけた。
その視界に捉えた室内は、まるで妖術師が現れてもおかしくないほどに妖しく見たことも無い道具が並べられている。
「……」
男は持っている荷物を抱きしめて恐る恐る奥へと踏み入った。まじないにでも使うのだろうか、所狭しとぶら垂れ下がっている布や木の板を避けながら進むと奥に気配が感じられる。
「!」
「ようこそ」
ゴシック調の椅子に腰掛けていたのは、黒いローブに身を包んだ男。手にした顔写真と交互に見比べ、やっと出会えた事に安堵した。
肩までの赤茶けた髪に、くぼんだ灰色の瞳は入ってきた男を歓迎するように態度で示される。
「ベルハースの使いの者だな」
ゆっくりと立ち上がり手を差し出す。頷きながら持っている荷物を手渡すと、その男は彼に目もくれずに嬉しそうに荷物を開けた。
それは、とても古びた書物──男はその表紙に歓喜して声を上げる。
「どうぞ」
ドアの向こうから聞こえた声は、どこかで耳にしたような感覚を覚えゆっくりとノブに手をかけた。
その視界に捉えた室内は、まるで妖術師が現れてもおかしくないほどに妖しく見たことも無い道具が並べられている。
「……」
男は持っている荷物を抱きしめて恐る恐る奥へと踏み入った。まじないにでも使うのだろうか、所狭しとぶら垂れ下がっている布や木の板を避けながら進むと奥に気配が感じられる。
「!」
「ようこそ」
ゴシック調の椅子に腰掛けていたのは、黒いローブに身を包んだ男。手にした顔写真と交互に見比べ、やっと出会えた事に安堵した。
肩までの赤茶けた髪に、くぼんだ灰色の瞳は入ってきた男を歓迎するように態度で示される。
「ベルハースの使いの者だな」
ゆっくりと立ち上がり手を差し出す。頷きながら持っている荷物を手渡すと、その男は彼に目もくれずに嬉しそうに荷物を開けた。
それは、とても古びた書物──男はその表紙に歓喜して声を上げる。