断崖のアイ

 数日後──パソコンのディスプレイを見つめるベリルの背中を、ベルハースは無言で見下ろした。

「質問があればいつでも構わん」

 ぶっきらぼうに発してドアに向かう。

「教授」

 呼び止められて振り返ると、無表情な瞳が教授に視線を合わせ口を開いた。

「他の者たちはどこにいますか」

「別棟にいる。見てみたいかね?」

「はい」

「いずれ案内しよう」

 小さく礼の言葉が聞こえて部屋をあとにした。
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