断崖のアイ
◆第4章~踏み出した先
*背後の影
「!」
小さく溜息を吐いたとき、背後の気配に振り返るとユーリが立っていた。少し驚いた顔をした彼に青年は口を開く。
「わたしには何が正しいのか解らない……」
「確固たる正しさなど存在しないよ」
柔らかに発するが、彼を見つめる青年の眼差しは険しい。私服で荷物を持っている処を見ると、諦めて戻るのかとも思ったが──
「私に考えられるだけのヒントをください」
彼はそれに目を見開いた。
「それは本気か」
「後悔はしません」
「そんな事は解らん」
言い放ち、歩き出す彼の背中を慌てて追いかける。
差し込む陽差しは心地よく明暗を彩り、鳥たちのさえずりが眼前の常世の国の住人を覆い隠すように響き渡っていた。
視界が狭まっていくような感覚を覚えた刹那──
「よせ!」
「!?」
彼の声のあと、大きな影が迫ってきて防御する間もなく頭部に激しい衝撃が起こった。倒れる青年の目に、何者かに抱きしめられているベリルの姿が映り意識はそのまま遠のいていった……
小さく溜息を吐いたとき、背後の気配に振り返るとユーリが立っていた。少し驚いた顔をした彼に青年は口を開く。
「わたしには何が正しいのか解らない……」
「確固たる正しさなど存在しないよ」
柔らかに発するが、彼を見つめる青年の眼差しは険しい。私服で荷物を持っている処を見ると、諦めて戻るのかとも思ったが──
「私に考えられるだけのヒントをください」
彼はそれに目を見開いた。
「それは本気か」
「後悔はしません」
「そんな事は解らん」
言い放ち、歩き出す彼の背中を慌てて追いかける。
差し込む陽差しは心地よく明暗を彩り、鳥たちのさえずりが眼前の常世の国の住人を覆い隠すように響き渡っていた。
視界が狭まっていくような感覚を覚えた刹那──
「よせ!」
「!?」
彼の声のあと、大きな影が迫ってきて防御する間もなく頭部に激しい衝撃が起こった。倒れる青年の目に、何者かに抱きしめられているベリルの姿が映り意識はそのまま遠のいていった……