風花
『清谷さんは仕事も家庭も波にのってますよね』

「普通だよ。ふ・つ・う」
口にいっぱいの肉をほおばりながら彼は笑った。

『そうかなぁ。私なんて』

「私なんて?」

『・・・』

「刺激がない・・・てやつ?」

『ん~。彼氏とは相変わらずだし、仕事は綾部がいなくなると何だか張り合いないっていうか・・・。』

「綾部がいないと・・・か。」

『なんて言うか、オアシスがなくなる・・・ていうか・・・』



すると清谷さんは残ったビールを一気に飲み干し

「行こっか」

突然の帰るコールに、私は残った食材を口に収納し、
慌てて荷物をまとめた。

『清谷さん!!!』

私が店を出た時には、清谷さんは既に支払いを済ませて駅に向かって歩いていた。

『どうしたんですか?!』

「別に。帰りこっちで合ってたよね?」

何で急に・・・。何か言った?私。

『大丈夫です。帰れます。すみませんでした。』

私は清谷さんに一礼し、止まっていたタクシーに乗った。

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