風花

清谷さんが退院して数ヶ月が経った。

あれから清谷さんとは全く話していない。

話すきっかけがなく、きっかけがあったとしても今は困る。
・・・そう思って今日まできてしまった。

綾部とも清谷さんとも話さない平凡な毎日・・・。
平日は仕事と会社の往復。
土日は彼氏と会う・・・いつの間にか、淡々と過ぎる毎日に戻ってしまっていた。

相変わらず、今日も淡々と1日の仕事が終わった。

帰り支度をしていつものように挨拶を済ませ、エレベーターを待っていると

「どうした?気の抜けた顔して」

どこからか懐かしい声。

清谷さんだ。

何ヶ月ぶりだろう・・・

『あ。いえ。ボーっとしてました』

「ちょうど良かった。飯いかない?」

『え?!』
あまりに昔と変わらない態度に、何て答えたらいいか分からなかった。

「急に誘っても用事あるよな。ごめん。ごめん。」

『いいえ。全然大丈夫です!』
頭で考える前に答えていた。



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