出たくなかった。
ユウキも、信じていたけれど
本当は、ほんとうは、やっぱり、普通の男の人。




そんなの、当たり前なのに…
どうして…受け止められないんだろう。



携帯の着信音は、ずっと鳴ったままだ。
おそるおそる、通話ボタンを押す。



「も、し…もし?」


「ああ、マミ。よかったー!お前、ごめん…
さっきのなしってことで。俺ちょっと、酔ってたっぽい」

酔ってたなんてウソ。ユウキはお酒なんて飲まない。
お酒のにおいも、しなかったから…。


マミは強く突き放すように言った。

「いい、怖いから」


「ごめんってマジで」


「やだ…いまのユウキは受け入れられない」


「………俺、本当…最低…だな………」




ユウキの声は震えていた。
またそうやって、泣くの?



本当に女の子みたいで、弱くて…


ああ、だめだ。


あたし…許しちゃう。



「ごめん、いいよ、ユウキ。泣かないで」


「……ッ、ごめん……俺、弱くて…」


「いいんだよ、泣かないで、笑って。ユウキ。」


「許して…くれんの?…」


「許すよ。でも、もう急にキスとかはやめてね」


「…わかった。ごめんな…約束する」



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