どうしようもなく好きです!

気になるアイツ

亮太side


「宿泊学習!?」


「何だそれ・・・?」

「わ~楽しそう!!」

入学して2週間が過ぎたころ、リーダーの紗枝がミーティングルームから戻ってきて俺たちに伝えた内容。



宿泊学習


「まあまあ、落ち着いて~。え~っと、日時はちょうど1ヶ月後で2泊3日で~す!
 それで、行き方はバスで約2時間半。」

 紗枝がプリントを俺たちに配った。
山の民宿にとまるのか・・・。


・・・・ん?

「各グループの出し物って何だよ」

目に付いた言葉の意味が分からず、紗枝に聞いた。


「あー、それはまあ劇でもダンスでも何でもいいんだけど、とりあえずそれぞれで考えてくるんだって。で、うちの班は、隣の班と一緒になんか出すことになってるから、また今からこの部屋に来ると思うよ。」



今からって、8時だぞ・・・。


「晩飯はどーすんだよ・・・。」


「あ、それは大丈夫!!隣の班の人が下の弁当屋さんで買ってきてくれるから。」

紗枝が答えた。いや、お前無理やり買わせに行かせただろ・・・。



「紗枝ちゃんは何か出すもの考えてるの?」

ゆうかが聞いた。


こいつと出会ってまだ2週間。だが、俺はこいつのいろいろな表情を見てきた。
真剣な顔、困っている顔、眠そうな顔

そして笑っている顔。


ゆうかが動いたり声を出したりするたびに目や耳がそっちを向く。

まるでゆうかに反応するレーダーがついているかのように。



このときすでに始まっていたのかもしれない。

でも、俺がそれに気づくのはまだ随分と先の話だ。
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