カセットテープ
「おばさん……晴司は十七年しか生きれなかった。けど、あいつは幸せだったって思ってる……きっと」
言うつもりなどなかった言葉が、口の中から出てきたことに、響は少し驚いていた。
響の言葉を聞いた晴司のお母さんは、何処か悲しそう微笑む。
「晴ちゃんがそう思っていてくれたら、うれしいんだけれど……」
手に握り締めた数珠がジャリ、と音を立てる。
「響くん、晴ちゃんの部屋で少し待っててくれないかな? 渡したいものがあるのよ」
おばさんは疲れた表情で響に頼んだ。後ろに纏めて結あげた髪がほつれている。
そんな姿を見れば響には断れるはずもなく、了承の意味を込め小さく頷いた。
「わかりました、上で待っています」
響は立ち上がり、焼香の前までいき冥福を祈ったあと、二階にある晴司の部屋に向かった。
途中何人かの喪服姿の人たちに会釈をし、晴司の部屋に入いる。
葬儀のためか、綺麗に整理整頓された部屋は、晴司の匂いが消されたかのように響には思えた。
開け放たれたドアから昼とは思えない、少し寒い風が流れてきた。つられて白いカーテンも靡く。
窓際にあるベッドに響は歩み寄った。
ベッドに腰を下ろし、突然亡くなった友を懐かしく思う。
いつも笑顔の絶えない奴だった。優しくもあり頼れる兄弟見たいな存在で、高校は違ったけど疎遠になることなくよく遊んだりしたよな。
心の中で響は問い掛けた。何処にもいない晴司にむかって。
もちろん返事なんか返ってくるわけもなく静かな部屋で響はただ一人、晴司のお母さんを待ち続けた。
ふと気が付いたら、窓から射す光りが部屋を橙色に染めていた。
夕時の時間になっていた。どうやら気付かないうちに眠っていたらしい。
いつのまにか壁にもたれかかり、俯いていた顔を上げ、休んでいた身体に酸素を送るため、深い呼吸を二回してベッドから下り立ち上がる。
窓から見える景色は、綺麗に橙色に染まり、所々に雲がかかっていた。
この時間になれば、殆んどの人たちは家に帰り、月本家の親戚の人は後片付けをしている所だろう。
遅いなあと思う響は扉に近づこうとすると、ちょうどノックの音が扉から聞こえた。
言うつもりなどなかった言葉が、口の中から出てきたことに、響は少し驚いていた。
響の言葉を聞いた晴司のお母さんは、何処か悲しそう微笑む。
「晴ちゃんがそう思っていてくれたら、うれしいんだけれど……」
手に握り締めた数珠がジャリ、と音を立てる。
「響くん、晴ちゃんの部屋で少し待っててくれないかな? 渡したいものがあるのよ」
おばさんは疲れた表情で響に頼んだ。後ろに纏めて結あげた髪がほつれている。
そんな姿を見れば響には断れるはずもなく、了承の意味を込め小さく頷いた。
「わかりました、上で待っています」
響は立ち上がり、焼香の前までいき冥福を祈ったあと、二階にある晴司の部屋に向かった。
途中何人かの喪服姿の人たちに会釈をし、晴司の部屋に入いる。
葬儀のためか、綺麗に整理整頓された部屋は、晴司の匂いが消されたかのように響には思えた。
開け放たれたドアから昼とは思えない、少し寒い風が流れてきた。つられて白いカーテンも靡く。
窓際にあるベッドに響は歩み寄った。
ベッドに腰を下ろし、突然亡くなった友を懐かしく思う。
いつも笑顔の絶えない奴だった。優しくもあり頼れる兄弟見たいな存在で、高校は違ったけど疎遠になることなくよく遊んだりしたよな。
心の中で響は問い掛けた。何処にもいない晴司にむかって。
もちろん返事なんか返ってくるわけもなく静かな部屋で響はただ一人、晴司のお母さんを待ち続けた。
ふと気が付いたら、窓から射す光りが部屋を橙色に染めていた。
夕時の時間になっていた。どうやら気付かないうちに眠っていたらしい。
いつのまにか壁にもたれかかり、俯いていた顔を上げ、休んでいた身体に酸素を送るため、深い呼吸を二回してベッドから下り立ち上がる。
窓から見える景色は、綺麗に橙色に染まり、所々に雲がかかっていた。
この時間になれば、殆んどの人たちは家に帰り、月本家の親戚の人は後片付けをしている所だろう。
遅いなあと思う響は扉に近づこうとすると、ちょうどノックの音が扉から聞こえた。