カセットテープ
「そっか」
「それだけ?」
「それだけ」
「ほんとにそれだけ?」
「ほんとにそれだけ」
「ほんとにほんとにそれだけ?」
「ほんとにほんとにそれだけ」
まるでオウムに言葉を教えているような会話に、キョウの前の席に座る女の子が可笑しそうにクスクスと、上品に口元を抑えて笑う。
少女は振り返り、二人を見る。
「本当に二人の会話って可笑しいね。それに仲いいし、羨ましいなあ」
「あのさ、舞結(まゆ)。勘違いしないで。私とキョウは仲良くなんてないの。むしろ悪いの」
「そうかなあ」
「そうよ」
英里と舞結は仲良さそうに笑う。
「もう昼休みだし食べない?」
舞結が花柄のピンクで包まれている弁当箱を持ち上げて、英里に見せる。
「食べる食べる」
意気揚々と返事して、自分の席に掛けてあるカバンから弁当箱を取り出し、すでに購買に行って居ない舞結の前の席に英里が座る。
それを見たキョウも椅子から立ち上がり、購買部でパンを買いに行くために教室から出ていこうとするが、舞結が呼び止めた。
「ねえ、一緒に食べない?」
「ごめん、一人で食べたいんだ」
「そっかあ、ごめんね引き止めて」
残念そうな表情を舞結は作る。
「じゃあ」
それだけ言い残して、キョウは教室から出ていった。
キョウの出ていく姿を見ていた舞結に、意味深な笑顔で英里が見つめる。
「フフフ、惚れたか」
「え? そ、そんなんじゃないよ。ただ……」
舞結は言葉を止めた。
その焦れったさに英里が耐えかねて促す。
「ただ何?」
「よくわかんないの」
「ふーん、それが恋ってやつなんじゃないの」
英里の言葉にわかったようなわからないような曖昧な表情を浮かべる舞結。
「ねえ、それより早く食べよ! 私お腹減っちゃった」
お腹を擦りながら照れ笑いを浮かべる英里が、何処か可笑しく舞結はクスクスと笑った。
教室から出たキョウは、購買部であんパン二つとカフェオレを買い、いつも一人で食べている場所に向かう。
この川凪高校は私立高並みに何故か施設が揃い、公立学校の中でも群を抜いて緑が多い高校である。
噂では校長がここまでの施設強化を設備したと、もっぱら生徒達が噂している。
学校の隅っこにある柊の木にもたれかかりキョウは、毎日昼休みを過ごしていた。
「それだけ?」
「それだけ」
「ほんとにそれだけ?」
「ほんとにそれだけ」
「ほんとにほんとにそれだけ?」
「ほんとにほんとにそれだけ」
まるでオウムに言葉を教えているような会話に、キョウの前の席に座る女の子が可笑しそうにクスクスと、上品に口元を抑えて笑う。
少女は振り返り、二人を見る。
「本当に二人の会話って可笑しいね。それに仲いいし、羨ましいなあ」
「あのさ、舞結(まゆ)。勘違いしないで。私とキョウは仲良くなんてないの。むしろ悪いの」
「そうかなあ」
「そうよ」
英里と舞結は仲良さそうに笑う。
「もう昼休みだし食べない?」
舞結が花柄のピンクで包まれている弁当箱を持ち上げて、英里に見せる。
「食べる食べる」
意気揚々と返事して、自分の席に掛けてあるカバンから弁当箱を取り出し、すでに購買に行って居ない舞結の前の席に英里が座る。
それを見たキョウも椅子から立ち上がり、購買部でパンを買いに行くために教室から出ていこうとするが、舞結が呼び止めた。
「ねえ、一緒に食べない?」
「ごめん、一人で食べたいんだ」
「そっかあ、ごめんね引き止めて」
残念そうな表情を舞結は作る。
「じゃあ」
それだけ言い残して、キョウは教室から出ていった。
キョウの出ていく姿を見ていた舞結に、意味深な笑顔で英里が見つめる。
「フフフ、惚れたか」
「え? そ、そんなんじゃないよ。ただ……」
舞結は言葉を止めた。
その焦れったさに英里が耐えかねて促す。
「ただ何?」
「よくわかんないの」
「ふーん、それが恋ってやつなんじゃないの」
英里の言葉にわかったようなわからないような曖昧な表情を浮かべる舞結。
「ねえ、それより早く食べよ! 私お腹減っちゃった」
お腹を擦りながら照れ笑いを浮かべる英里が、何処か可笑しく舞結はクスクスと笑った。
教室から出たキョウは、購買部であんパン二つとカフェオレを買い、いつも一人で食べている場所に向かう。
この川凪高校は私立高並みに何故か施設が揃い、公立学校の中でも群を抜いて緑が多い高校である。
噂では校長がここまでの施設強化を設備したと、もっぱら生徒達が噂している。
学校の隅っこにある柊の木にもたれかかりキョウは、毎日昼休みを過ごしていた。