‐Children‐
パニック状態に陥った桃香が昴に抱きつきながら風の吹いた方向に手をかざす
すると小さなつむじ風が無数に巻き起こり、廊下を駆け巡った
『ウァァァァア!!』
そして第三者のひび割れた叫び声が響き渡る
桃香と昴が腰を抜かして廊下の壁にぶつかると、2人の視界は暗転する
「「キャーーーー!?」」
「青柳!草原!!」
隠し扉だ
壁が2つに分かれてクルリと反転したのだ
慌ててレオがその場所を手で押さえれば、難なく扉は開く
中は2つに分かれていて、別々の方向に向かうようになっていた
「琉はそっちから行け」
扉の向こうに消えた2人をレオと琉は追う
「山根、帰って天城に知らせてこい」
「わかった」
さすがに何かあってからでは遅い
泰刃に指示を出して2人は別々の穴を下りて行った
「さて……」
素早く踵を返し、寮にいる天城を呼びにいこうとする
だが、廊下の影から気配がした
「お前……!」