‐Children‐



一方、桃香は



「……痛ーい!」


ムクリと起き上がればライトの光がそこを照らしていた

古い部屋にしては荒れていない
床に転がった桃香はそんなに汚れていない。定期的に誰かがここに来ているのではないか?
そう思わせるほどホコリがあまりなかった


ライトを手にして見回して見れば、自分が落ちてきた穴が見える
ダストシュートのような人工的な穴だ


一緒に落ちたはずの昴が見当たらないのは、穴の大きさが人一人分だからだろう
はぐれてしまった


……嘘でしょ、と呟こうとすればダストシュートから何かが滑り落ちてくる音がする

ビクリと身を強張らせたがすぐに力をぬく


「おい、桃香か?大丈夫か!?」


破顔して笑うレオに、泣きたいくらいにホッとした



********



琉がダストシュートを下りて行くと小さな部屋に着いた

手にしていたライトをつけて辺りを照らした
昴か桃香、どちらかがいるはずだが見当たらない


「青柳、草原」


呼び掛けに小さく声がした
すると、ライトの光に少女の姿が浮かび上がる






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