‐Children‐



部屋の隅、古ぼけた研究所机の下で身をちぢこめて青柳は震えていた


「……青柳、大丈夫か?」

「葛城くん……」


そいいえば、青柳はライトを持っていなかった
相当怯えたのだろうこちらを見る瞳は涙でにじんで揺れている

自分を呼ぶ声でさえ震えている


「隠し扉があったんだ。そこから落ちた」

「桃香さんは……?」

「二通り穴があったから草原はそっちに落ちたんだろうな」


琉はゆっくりと昴に近づく
琉は昴の前まで来るとしゃがんで視線を合わせた


「大丈夫か?」

「……はい」


返事はするが立ち上がろうとはしない、出来ない青柳に軽くため息をついて左手を出した


しばらくの間、琉の手と目を交互に見つめてから、躊躇いがちにその手をとった



*******



らしくないなと思いつつ琉は昴の手を引いて廊下を進んでいた


あのダストシュートらしき穴は、おそらく一階分の距離を降りたはずだ

今ここは地下で地上に上がる階段を探していた


「葛城君は……」


ポツリと青柳が呟く
おそらく沈黙が恐いのだろう







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