‐Children‐
部屋の隅、古ぼけた研究所机の下で身をちぢこめて青柳は震えていた
「……青柳、大丈夫か?」
「葛城くん……」
そいいえば、青柳はライトを持っていなかった
相当怯えたのだろうこちらを見る瞳は涙でにじんで揺れている
自分を呼ぶ声でさえ震えている
「隠し扉があったんだ。そこから落ちた」
「桃香さんは……?」
「二通り穴があったから草原はそっちに落ちたんだろうな」
琉はゆっくりと昴に近づく
琉は昴の前まで来るとしゃがんで視線を合わせた
「大丈夫か?」
「……はい」
返事はするが立ち上がろうとはしない、出来ない青柳に軽くため息をついて左手を出した
しばらくの間、琉の手と目を交互に見つめてから、躊躇いがちにその手をとった
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らしくないなと思いつつ琉は昴の手を引いて廊下を進んでいた
あのダストシュートらしき穴は、おそらく一階分の距離を降りたはずだ
今ここは地下で地上に上がる階段を探していた
「葛城君は……」
ポツリと青柳が呟く
おそらく沈黙が恐いのだろう