‐Children‐



「『ここ』の事故のことを思い出していてね」


生徒は研究所を出て寮に向かっていた
「恐かった」「信じられない」「紛らわしい」など、口々にいいながら歩いている


「あの頃とは時代が違う。あの子達は幸せだね。青柳昴も」


立花は言った

『事故で』死んだ人はいない

この場所で死んだ人がいないとは言っていない


「……余計な事はするな」

「わかってるさ」


掴み所のない笑みで立花は手を振った



*******



「どうなったかなー?」


梨乃の部屋のベッドでゴロゴロとしながら頼良は言った
椅子の上で体育座りをして読書していた


本に視線を落としたまま梨乃は答えた


「大騒ぎになってることは確かかなぁ。桃は怖がりでしょ?」

「フフフ、昴もよ」

「えー、意地悪だね」

「だって」


ニッコリと頼良は笑った


「何かイベントがあれば仲良くなりやすいでしょう?」






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