‐Children‐
期待と好奇心のこもった瞳で見つめられても、と昴が答えを探していると、昴の緊張をほぐす為かディックがクスリと笑った
「なら、オレのことからハナスヨ」
すると、ディックは水の入ったグラスを手に取った
そして、変化は起こる
パキッと、音を立ててグラスと水が一瞬で凍ってしまった
「……氷」
「オレはディクソン・スミス。氷のノウリョクシャさ」
コトッと、冷気を放つグラスを昴の目の前に置いてディックは冗談めかして言った
「キにイったならどうぞ?」
目の前で起こったことに驚いていた昴に冗談を言ったのだろう
はぁ、と何となく昴がグラスに触れた瞬間
音もなく氷は水に戻った
《《えっ?》》
「あっ………」
グラスには結露が滴り、見た目には凍っていた事がわかった
しかし、氷は跡形もなく消えていた
《今のはなんなんだ?》
どこか茫然とディックが問う
ディックは5人の中でリーダー的存在なのだろう
一様に何が起こったか分からない、といった表情を浮かべている