‐Children‐



「青柳、なに囲まれてるんだ?」

「天城先生」


先ほどはキチンと着ていた筈のスーツを着くずしてこちらに歩いて来るのは天城だった

6人もの人間に囲まれていた昴を怪訝に見ていた天城だったが、ある1人と視線が絡み合い硬直した


《モリソン……?》


『フォード先生』と呼ばれていた男性は、昴に向けていた視線をゆっくりと天城に向けた


《久しぶりたな……キョウスケ》


しかし、その声音の冷たさに空気は氷ついた
瞳の鋭さはそのままにフッと口角を上げた


「お前は相変わらず綺麗事を並べているようだな」


男性ははっきりとした嘲笑を滲ませて日本語を話した
じわりと微かに、天城の顔に苦汁が滲む


「……何が言いたい?」

「言葉の通りだ」


昴はただならない緊張感にただ座っている事しか出来なかった
他の子供達は空気の冷たさに少し緊張しているようだが、昴のような困惑は抱えていない

もしかしたらこの状況の原因をしっているのかもしれない


そこへ、冷たい空気を裂く声が響いた






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