‐Children‐



子供特有の小さな寝息しか響かないへやで、ヒソヒソと小声で内緒話をする


《やっぱり……お前はバカだよ》

《……ひどいな》


言いながら、恭介は薄く笑った


《お前は》


……やさしすぎるんだ


声には出さずに思った
モリソンは苦い思いに顔を歪ませる


《いつか絶対に……傷つく》

《……でも、誰かが泣いてるの見るよりはいい》


懲りない恭介にため息をついて、乱暴に恭介の髪を掻き混ぜる
ビックリしている恭介を置いてモリソンはベッドから出る


《バーカ》


恭介は驚いて目を見開く

モリソンが本当に珍しく、自分に笑いかけていたからだ



*******



エイムズ研究センター


その研究施設での記憶は、殆どが辛いものでしかなかった

けれど、だからこそ
13人の子供達は身を寄せ合うように過ごしていた

喧嘩や言い争いもたくさんした
それでも、それぞれが、それぞれを大切に想っていた


希望なんて、絵本の中の出来事だ


全てを諦めたように生きる者、淡々と機会を待つ者


そして、その時が訪れる





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