‐Children‐



走った

喉が焼け付くまで走った


入り口までの警備システムはすべてダウンしている
所々警備員が転がされているのを無視して走り続ける


夜の闇にもよく目立つ、燃えるような赤毛が見えて叫んだ


《アリア!》


ゆっくりと少女は振り返った
濃い緑の瞳は恭介を射ぬくように見据えた


《恭介、選んで》


突然選択を迫られる
分かりたくもない、その選択の意味


わかってしまった


なのに無意味な言葉を吐き捨てる


《ふざけるな……何を選べって言うんだ。なぜこんな時間にここに居る?》


《アリア!行くぞ!》


ビクターが影から飛び出て来る
恭介を見て、ビクターは状況を理解する


《ルース、ベッキー!》


ビクターが呼び掛ければ荷物を抱えた2人が現れる


《なんだ、キョウスケ、来たのね》

《ベッキー……》


息を飲んだ
全員の覚悟をその目に見てしまったから






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