‐Children‐



《俺達は世界を変える》


ビクターは静かに言った


《馬鹿言うな》

《馬鹿?本気で言ってるのか?》


ベッキーは笑った


《アハハ、前にも言ったよねぇ。アタシは期待しない》


ふと、笑うのをやめる


《こんな世界に期待なんてできると思うの?》

《キョウスケは言ったよね》


いつも、口数の少ないルースが呟いた


《教師になって、幼いレストチルドレンを守るって》


教師になるつもりだった
レストチルドレンを相手に能力だけが、この施設の中だけが、全てじゃないと教える
それが彼らを少しでも支える事になる、そう思ている


《お前はなにを考えてる?全て不毛な事だ。世界が変わらなきゃ、ココが変わる訳もない》

《ルース……!》


ただ名前を叫んだ
届かないと知っていて


《お前達がこんなことをしても誰かが救われるとは限らない!》

《キョウスケ、何があろうと………俺は戦うさ……それだけだ》


ビクターの声音は硬い
恭介は足が地面に縫い付けられたように動けない

動かない






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