‐Children‐
天城はため息のように薄く微笑む
真っすぐに見返してくる少女の瞳には憐れみも同情もなかった
「さぁな……まぁ、ちょっとした誤解だ。お前さんなら大丈夫だろ」
何が大丈夫なんだろう?と昴は思った
天城は、また寮に向かって歩きだしながら微笑む理事長の顔を思い浮べた
(あいつは何考えてんだ?)
今朝、グラウンドでレストチルドレンの能力を見せられ怪我をしかけたというのに、少女には忌避も恐れもない
何か嫌な不安感を覚えたが、それが形になる事はなかった
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白く輝く髪
若き理事長である君ヶ崎修慈(きみがさきしゅうじ)は、薄く笑い秀麗な目蓋を押し上げた
「天城先生はやさしいですね……青柳昴君はそんなに弱くはありませんよ?」
その口調はすべてを知っているかのようだ
君ヶ崎は手に持っていた書類を無造作に机に置いた
「間に合いますかね?」
何処か楽しげに、君ヶ崎理事長は誰にともなく呟いた