‐Children‐
天城恭介は煙草をくわえて椅子に座っていた
足は行儀悪く机の上に乗せられている
「あぁ……面倒臭せえ」
「ちょっと!天城先生!?」
甲高い声で注意したのは新任の女教師だ
「なんだよ」
「なんだよ、じゃありません。足を机の乗せないで下さい!」
「……」
「うるさくてもマナーです」
まだたいした付き合いもないのに天城の心理を読んでいる
だがこの新任教師は真面目な所だけが取り柄でもある
定時にホームルームを行うため立ち上がりながら彼女は文句を続けた
「今日は転校生の子も来るんですよ。先生がそんな調子じゃ不安です」
「和泉(いずみ)、俺にはお前の方が不安だけどな」
「はい?」
「それ、名簿じゃないぞ」
「!!?」
和泉紗羽、彼女は天城の指摘に顔を真っ赤にした
「べべべっ!別に間違えた訳じゃありません!」
じゃあ、どういう訳で名簿の代わりに『お菓子百選』等という物をホームルームに持って行こうとしたのだろうか
和泉紗羽は真面目だが致命的にドジだった
和泉が顔を真っ赤にして職員室を出て行こうとした
その時
グラウンドで轟音が響いた