‐Children‐
桃香はサッと血の気が引いた
今回の親善試合の選手に選ばれてはいないとはいえ、学内でも屈指の能力を持つ桃香の鎌イタチはとても危険なものだ
しかし、眼前の少女は鎌イタチに切り刻まれる事無く、余りにもしなやかに桃香に詰め寄った
トンッ、と首筋を軽く押されただけで足が立たなくなってしまった
「ツボをついただけなのでしばらくは動けないだけですよ」
「すっ昴……」
「あっ、やっぱり廊下のど真ん中では変ですか」
昴は変なところで気を使ったようで、足の立たない桃香の脇を抱え壁にもたれかかれるようにした
桃香としては自分から友達だと言いながら、つい先ほど本気で攻撃してしまったことが恥ずかしい
けれど、昴はこちらのそんな感情を知らないようだ
「そろそろ次の奇襲が来そうなのでいきますね」
昴は軽く手を上げて去って行った