‐Children‐
レオはいつも無邪気にそばに来る
私の気持ちなど全く知らずに…………
「ちょっ、ちょっと!レオ近い近い」
「は?なんだよ人が心配してんのに」
桃香の不自然な態度にムッとしながらも床に座り込んだままの桃香を不思議そうに見ている
「……昴にやられちゃたの。ツボ?を押されたの、そしたら足に力入んなくて」
「マジか!昴のヤツ、やっぱりやるな」
ニカッと嬉しそうに笑う顔に桃香の胸がツキリと痛む
また、
また、ぐるぐると意味のない葛藤が押し寄せてくる
昴が桃香を簡単に戦闘不能にしたことにウンウンと、しきりに感心している
きっと今、私は情けない顔でそんなレオを見ているに違いない
桃香は自嘲を含んだ呟きを思わずこぼした
「本当に……すごいよね」
「まぁ、気にすんなって」
レオは慰める訳でもなく、軽い調子で言って行くぞ、と桃香を抱き上げた
「ちょっ…と、レオ!?」
「なんだよ、保健室まで送ってやるだけだ。こんなとこで動けないんじゃ危ないだろ?」