‐Children‐
肩に触れる大きな手
膝裏をすくい上げる力強い腕
桃香はパクパクと口を開閉させた
おそらく(いや、ほぼ間違いなく)顔を紅潮させた桃香の様子になど全く気付かず、レオは保健室へと走りだす
その心地好い揺れと温度に次第に桃香はうつむく
紅くなった頬に気付かれないように
(なっ、なによ……レオの………バカ)
移動しようと思えばいつだって風に乗って出来た
それは桃香の能力を知っているレオなら、わかりきっていることのはずだ
けれど、レオはいつだって手を差し伸べてくれる
その暖かさに触れるだけで胸の奥に固まった何かが少し和らいだ気がした
「……やっぱりあたし、ダメだわ」
「なんだよ?」
桃香の小さな呟きに首を傾げたレオに桃香はにっこりと笑う
「なんでもないの!」
どうしようもないのは自分自身
例えレオが誰かを好きでも桃香がレオを好きな事に変わりはないから
恋を知ったあの日から